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ISO22000:2005 食品安全マネジメントシステム

I.広がるISO

商取引のグローバル化→均一な商品の供給→共通の品質管理システム

欧米では日本より早くグローバル化が進行し、新規取引き先の品質保証能力を判断するための基準が必要になりました。
国際商業取引を拡大するためには、世界的に統一された規格が必要となり、1987年ISO9001が欧米主体の「国際規格」として制定されました。ISO9001は企業の自主管理を基本にしたシステムであり、顧客満足への自己管理責任を約束することでもあります。
一方、食品安全について、HACCPシステム(危害分析・重要管理点方式)が既に食品製造企業に採用されていましたが、各国が個別に審査認証しており、国際的に共通したシステムにはなっていませんでした。また、HACCPシステムは食品製造の現場における管理を目的に作られたものでした。このことより、国際的に共通な食品安全に関する管理の仕組み、さらに、企業のマネジメントシステムの中で管理できるような仕組みを目指して、HACCPシステムをそのまま取り込んだISO22000規格が制定されました。
ISO22000規格が食品に関連する広範囲の企業(フードチェーン)の食品安全を目的とした管理の仕組み(マネジメントシステム)を提供することから、HACCPの認証取得を検討する企業にとっても注目するところとなっています。

ISO22000は製品の衛生・安全性を管理する仕組みの規格 ≠ 製品の規格

ISO22000は製品・サービスの衛生・安全性の程度を決める規格ではありません。衛生性、安全性が確保された製品・サービスが常に提供されるような企業の組織全体の仕組みを提供する規格です(マネジメントシステムで食品安全を確実にする)。この規格を取り入れることにより、食品安全を目標とし、かつ継続的に改善していける製品・サービス提供の全社的な仕組みができます。

取得企業の広がり→HACCP対象業種から食品製造業・サービス業全般へ

従来、日本のHACCPは厚労省が定めた食品衛生法における「総合衛生管理製造過程」(HACCP)の対象業種を中心に行われてきました。今後、HACCPシステムを取り込んだ国際規格ISO22000が制定されたことにより、食品安全を目指す食品製造業、さらに食品に関連する製品の製造業、サービス業にISO22000の認証取得が拡大すると思われます。

II.ISO22000の初歩

1. ISO22000とは?
  (a) 国際標準化機構(ISO)が定めたHACCPの要求事項を含む29項目の要求事項(しなければならないこと)からなる食品安全管理の世界標準システムです。
  (b) 安全性の基準値を定めたものではなく、企業全体で取組む食品安全マンジメントシステム(仕組み)のモデルを示したものです。
  (c) 検査で製品の安全性を確保するのではなく、製造工程を含めた企業全体の管理システムにより、製品の安全性を保証しようとするものであり、安全性を脅かす危険性のある工程、業務に基準を設け、それを徹底的に管理することを基本としています。
2. この規格の目的は?
  (a) 企業が、安全な食品(製品)を常に提供できることを証明します。
  (b) 企業の食品安全に対する管理能力に対して取引先、顧客から信頼感を得ることが可能です。
(c) 取引先、顧客、公的機関などが企業の食品安全に対する管理能力を評価する場合の基準となります。
3. この規格の登録認定は?
  国際標準化機構(ISO)より認定を受けた審査登録統括機関から実際の審査機関として認定を受けた機関(日本品質保証機構JQAなど数社)が、企業のこの規格の構築、運用状況を審査し合格すれば認証を与えます。
4. 実際のこの規格の内容は?
  29項目の要求事項(しなければならないこと)(表1)をもれなく実行することにより、規格の目的を達成するための食品安全管理の仕組み(食品安全マンジメントシステム)が確立するようになっています。
  (a) 経営トップは食品の安全に対する責任を明確にして、食品の安全性を確保するための方針を出し、リーダーシップを発揮しなければなりません。
  (b) HACCPシステムに従った企業の業務手順をマニュアル・手順書に文書化し、それに従った作業を行い、証拠となるように記録を取ります。
  (c) 定期的に運用状況をチェックし、継続的に食品安全マネジメントシステムの改善を行い、有効性を確認します。
5. ISO9001との関係
  ISO22000規格は、ISO9001規格の要求事項をベースに制定されていますが、ISO9001が顧客満足を目標にしているのに対して、ISO22000はより具体的に食品安全に焦点を絞ってつくられています。そのためISO9001の要求事項の一部は含まれていません。

III.ISO22000の内容

標準化→文書化→実行→記録
1.  全員ができるやり方を決め、実行し、記録します
  規格がしなさいと言っていることは、「○○についてどのようにするか決めて行いなさい」です。ISOでは大企業は大企業なりの、中小企業は中小企業なりの製品を作る、管理するための仕組み(手順)を決めます<標準化>。ただし、ISO22000においては、その手順は食品安全を確実にするものでなければなりません。やり方を決めたら、統一できるように、それを文書に書いて見えるようにすることが重要です<文書化>。
次に、決めたことをその通り実行し<実行>、決めた通り実施し、安全な製品を出荷していることの証拠として、その結果を記録しなければなりません<記録>。
「当社では○○について△△しており、それはここに決めてあります。これがその通り行った結果の記録です。そうして作られる製品/提供するサービスがこれです。」と具体的に示すことで、食品の安全性について真にお客様の信頼を得ることができます。
 
 計画(標準化)Plan → 実行Do → チェックCheck → 処置・改善Act 
2.  業務や管理の方法を定め、その通り実行し、出来ているかチェックし、改善します
  ISO22000規格の要求事項を踏まえて、業務や管理の方法を決め(計画Plan)、その通り実施Doし、決めた通り(計画した通り)できたかどうか、食品の安全性が確保できているかどうかチェックCheckし、できていないところ、不足があれば適切に処置し、改善Actします(PDCA)。これによって、会社の品質管理の仕組みがより一層改善されます。
PDCAサイクル
 
 
3.  ISO22000規格の要求事項
 
 4 食品安全マネジメントシステム
 4.1 一般要求事項
 4.2 文書化に関する要求事項
 4.2.1 一般
 4.2.2 文書管理
 4.2.3 記録の管理
 5 経営者の責任
 5.1 経営者のコミットメント
 5.2 食品安全方針
 5.3 食品安全マネジメントシステムの計画
 5.4 責任及び権限
 5.5 食品安全チームリーダー
 5.6 コミュニケーション
 5.6.1 外部コミュニケーション
 5.6.2 内部コミュニケーション
 5.7 緊急事態に対する備え及び対応
 5.8 マネジメントレビュー
 5.8.1 一般
 5.8.2 レビューへのインプット
 5.8.3 レビューからのアウトプット
 6 資源の運用管理
 6.1 資源の提供
 6.2 人的資源
 6.2.1 一般
 6.2.2 力量、認識及び教育・訓練
 6.3 インフラストラクチャー
 6.4 作業環境
 7 安全な製品の計画及び実現
 7.1 一般
 7.2 前提条件プログラム(PRP)
 7.3 ハザード分析を可能にするための準備段階
 7.3.1 一般
 7.3.2 食品安全チーム
 7.3.3 製品の特性
 7.3.4 意図した用途
 7.3.5 フローダイアグラム、工程の段階及び管理手段
 7.4 ハザード分析
 7.4.1 一般
 7.4.2 ハザードの明確化及び許容水準の決定
 7.4.3 ハザード評価
 7.4.4 管理手段の選択及び判定
 7.5 オペレーション前提条件プログラム (PRP)の確立
 7.6 HACCPプランの作成
 7.6.1 HACCPプラン
 7.6.2 重要管理点(CCP)の明確化
 7.6.3 重要管理点の許容限界の決定
 7.6.4 重要管理点のモニタリングのためのシステム
 7.6.5 モニタリング結果が許容限界を逸脱した場合の処置
 7.7 前提条件プログラム及びHACCPプランを規定する事前情報並びに文書の更新
 7.8 検証プラン
 7.9 トレーサビリティシステム
 7.10 不適合の管理
 7.10.1 修正
 7.10.2 是正処置
 7.10.3 安全でない可能性がある製品の取扱い
 7.10.4 回収
 8 食品安全マネジメントシステムの妥当性確認、検証及び改善
 8.1 一般
 8.2 管理手段の組合せの妥当性確認
 8.3 モニタリング及び測定の管理
 8.4 食品安全マネジメントシステムの検証
 8.4.1 内部監査
 8.4.2 個々の検証結果の評価
 8.4.3 検証活動の結果の分析
 8.5 改善
 8.5.1 継続的改善
 8.5.2 食品安全マネジメントシステムの更新
 
4.  ISO22000のキーワード
リーダーシップ:経営者は企業の方向を決め、従業員が企業の活動に十分に参加できる環境を作ります。経営者は食品の安全を企業の方針の一つにしなければなりません。
人々の参画:全ての従業員が食品安全を目指す企業の活動に参加することにより企業の目標が達成できます。
継続的改善:企業の食品安全管理の仕組み(食品安全マンジメントシステム)をチェック、分析し、必要な是正処置及び予防処置を実施することにより食品安全を目標とした継続的改善につなげなければなりません。
意思決定への事実に基づくアプローチ:意思決定はデータ及び情報の分析に基づきます。
 

IV.仕組みを作り上げるにはどうすればよいか

現在の仕事のやり方をベースにし、そして食品安全のために足りないところを追加します

ISOを導入すると記録が増えて仕事が煩雑になる、だから……とよく言われます。確かに、これまで手薄だったマネジメントシステムを動かす(PDCAを回す)ための/動かした証拠の記録は必然的に増えます。
それぞれの企業にはこれまで信用ある製品・サービスをお客様に提供してきた実績があります。いま会社でやっていることを基準に仕組みを作っていくことが重要です。ただし、顧客にとって食品の安全は絶対です。そのために現在不足しているところがあれば加え、変更が必要なところを変えます。
管理の手順は、ISO22000規格の要求事項全てについて、当社では誰が、どのようにするのかを決めていくことで自動的に構築できるようになっています。(ただし、規格の用語は難解なので十分な理解が必要。)そして、管理の手順は全て文書で著します。

 

V.導入のスケジュール

まず何よりも経営トップの不退転の決意とリーダーシップが必要です。忙しさを理由に後回しや、中断すると再開は大変難しいです。タイミングをはかり、やるとなったらやり遂げる覚悟を経営者自身が持たなければなりません。
また、実際の活動は全ての従業員が担うわけですから、推進グループから全従業員へのISO22000の仕組みで実施する業務手順の教育は重要です。
一般化すると次図のように、ほぼ12ヶ月の活動になりますが、期間は各社それぞれの規模や業務内容、取得活動の程度により異なります。

ISO22000食品安全マネジメントシステム構築基本プログラム


ISO22000認証取得スケジュール
活動・支援項目 スケジュール(月)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1
 1 ISO22000、ISO9001規格の理解                        
 2 HACCPシステムの理解                        
 3 食品安全マニュアル(ISO22000)の作成                        
 4 規定(ISO9001関連)の作成                      
 5 HACCPシステム構築、関連文書の作成*                      
 6 作業標準、帳票の整備                      
 7 計画表、一覧表、リスト、台帳等の作成                    
 8 ISO22000システムの従業員への教育               -    
 9 ISO22000システムの運用            
10 内部監査員養成                        
11 内部監査実施                        
12 マネジメントレビュー                        
13 審査対応                      
14 審査指摘への対応                       *
  申請                        
  登録審査 1st                        
  登録審査 2nd                        
  登録                        
 
* HACCPシステム構築主要項目
食品安全マネジメントシステムの組織確認
「製品説明書」の作成
「製造フローダイヤグラム」の作成
「危害分析(HA)リスト」の作成
CCP決定、「CCP管理表」の作成
「製造工程表」(総括表)の作成
「衛生管理標準」の作成
「作業標準」の作成
 

   



        

   

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